2020年3月のコロナショックの時に米国10年債の利回りは、0.5%を下回りました。
そもそも米国10年債の利回りというのは1981年に16%を記録して、そこからどんどん低下していった。
そして、39年後のコロナショックの時に大底へ達して、そこから再び上場し始めたという訳です。
なので、コロナショックというのは国債のマーケットから見ても、非常にエポックメイキングな出来事だったと言えます。
全世界が激変するターニングポイントですね。
株式相場というのは国債の利回りが低いと上がり易い傾向があって、何故なら、債権を購入したり定期預金を保有しても利子が殆ど付かないので、株などのリスク資産へ投資する人間が増えるからです。
それにアメリカのFRBや日本の日銀などの中央銀行が量的緩和(過度の金融緩和)を実施すると、世の中に出回る現金の総量が多くなるので、現金の価値がどんどん落ちていきます。
そうなると沢山刷られたお金は、株式市場へ流れ込むパターンが殆どです。
米国債の利回りが1%ぐらいの非常に低い時は、IT関連やAIやEV(電気自動車)などのハイテク産業の株がよく買われる。
米国株で言うとNASDAQ市場の株価がやたらめったら上がります。
いわゆる「グロース株」と呼ばれる分野なのですが、こういった高成長が期待されるグロース株は一般的に配当が低い。
逆に、割安な株は「バリュー株」と呼ばれて、バリュー株が多くを占めるNYダウの配当はNASDAQに比べると高く支払われます。
投資家からすると、国債の利回りが上昇して株の配当利回りを超えてしまうと、わざわざ株を買う「旨み」が薄れてしまう。
例えば、米国10年債の利回りが2%なのにNASDAQ市場の株の配当が1%なら、NASDAQ指数は上がり難くなりますよ・・・ってな意味なんです。
それに比べるとNYダウの方が配当は高いので、国債の利回りがジワジワ上昇するとバリュー株の方が上がり易くなる。
そもそもグロース株の方はPERやPBRが割高な場合が多いので、将来の成長性を前もって買われてる側面が大きい。
しかし、世の中の金利が上昇する事(インフレ傾向)によって、将来、上場企業が生み出す利益の価値は低下していく訳です。
おまけに、ハイテク系の新興企業というのは自己資本比率が低くて、その数値が50%前後の企業もかなり存在している。
一般的には60%〜70%の自己資本比率が健全とも言われるのですが、銀行からの融資に大きく頼ると、後々、企業側は利子を返さないといけなくなるので、将来の利益が圧迫される。
なのでインフレ時代は、グロース株よりもバリュー株が買われる傾向に変わるのです。